ぶたぶたくんのおかいもの (こどものとも絵本) [ 土方久功 ]
タイトル:ぶたぶたくんのおかいもの
著者:土方久功
1970年10月1日こどものとも発行
1985年2月28日こどものとも傑作集第1刷
出版社:福音館書店
読んであげるなら 3才から
自分で読むなら 小学校初級むき
あらすじ
子豚のぶたぶたくんは忙しいお母さんに代わってお使いに出かけます。
パン屋さんでパンを、八百屋さんでじゃがいもとトマトを買って、その帰りにお菓子屋さんで好きなものを買ってくるのです。
外はいいお天気。道端に赤い花が咲き、池にはたくさんのメダカが泳いでいます。
パン屋のにこにこおじさん、八百屋のはやくちねえさん、お菓子屋のゆっくりおばあさんに、
お友達のからすのかあこちゃんにおおきなこぐまくん。
たくさんの人たちと交流してその帰り道ひとりになったぶたぶたくんは心細くなってきて・・・
ぶたぶたくんのおかいもの (こどものとも絵本) [ 土方久功 ]
この絵本の好きなところとおすすめポイント
まず、主役のぶたぶたくん。
これは本当の名前ではなくて、いつも「ぶたぶた」と言う癖があるのでぶたぶたくんと呼ばれているのだそうです。
なんとお母さんですら本当の名前を思い出せない。
でもそれを本人もお母さんも気にしていません。この絵本全体に漂うおおらかさが1ページ目から感じ取れます。
ぶたぶたくんはお母さんに頼まれてお買い物に出かけるのですが、行く先々のお店の店番が濃いです。
一番好きなのが最初に訪れるパン屋のにこにこおじさん。
細いヘアバンドであげたグレーのふわふわパーマヘアと、トランプのキングのようなクルクルひげ。
上下白の長袖長ズボンで椅子に腰掛けて、「かおつきぱん」を両手に抱えています。
ショーウインドウに並んだ3つの「かおつきぱん」の目はぶたぶたくんを見つめていて少し不気味。
この後出てくる八百屋さんもお菓子屋さんも、ちょっと不思議です。
この「ちょっと変」さがこの絵本の楽しいところで、印象に残る部分なのだと思います。
実際に私は子どもの頃に読んだこの本の他の部分は忘れても「パン屋のおじさんとパンがなんか怖くて面白かった」ことだけは覚えていました。
幼稚園や保育園で人気の絵本の中には、かわいいだけでなくちょっと不思議でちょっと怖いものがあります。
「おしいれのぼうけん」に出てくるねずみばあさんや、
「おばけのてんぷら」に出てくるおばけとか。
日常の中の不思議な話が好きなひと、動物のキャラクターが好きなひと、
訪れる店先の陳列が細かく書き込まれているので、お店の中を覗くのが好きな人にもおすすめしたい1冊です。