タイトル:絵本 地獄
千葉県安房郡三芳村 延命寺蔵
監修:宮次男
構成:白仁成昭・中村真男・貝原浩
1980年8月31日第1刷発行
2014年2月20日第37刷発行
出版社:風濤社
あらすじ
千葉県安房郡三芳村延命寺に所蔵されている16幅の絵巻をもとに、
ストーリーを構想し文章に起こしたもの絵本。
絵本を見た子供らが「死ぬのは怖いことだ」ということを
強く心に刻んでほしいというのを主題として作られた絵本です。
五平と言う人が死んで鬼に捕まって、
氷の剣で斬られるような冷たい風が吹く死出の山を越え、
渦を巻いて荒れ狂う三途の川を一筋の鉄の鎖を頼りに渡り、
奪衣婆(だつえばば)に着物を剥ぎ取られ、閻魔王の前に連れてこられてしまう。
「針地獄におちよ!」と裁きを下されて「
ああ、生きているうちにあんなことをしなければ!」と心から悔やんだ時に・・・
この絵本の感想とおすすめポイント
この絵本は「悪いことをしたら地獄に落ちるよ!!」と
子どもを叱る時に用いるものではないと考えます。
制作に携わった方たちの解説に
「私たちが子供らにしてやらねばならぬこと、それは、生きることのよろこびたのしさを存分に教え、と同時に自らの生命を尊び、自らそれを強く守ると言う心を培ってやることでしょう。」
絵本 地獄 に記された風濤社のコメント
とあります。
この絵本に触れて、死んだらこわいから死なないように気をつけよう、と思うようになってくれたらと感じます。
ところで、この本は地獄の風景が描かれている為とても怖いです。
死んだ人たちが鬼に吊されたり、刃物で刺されたり、蛇の縄で縛られたり、押し潰されたりしています。
血が出ているし、亡者たちは泣いたり、絶望からか虚無の表情をしたりしています。
残酷だから子どもに見せたくないと言う方もいると思います。
私個人的には、自分が子どもの頃は怖い怖いと言いながら地獄の絵本や戦争の絵本を好んで読んでいました。
知らなけれは想像することもできないので、
怖いことがある、もし自分や身近な人が怖いめにあったらどうしたらいいか
と考えるきっかけになるかな、と考えています。
とは言え、あまりに怖がるようなら無理に見せないのも大事ですね。