食欲の秋におすすめの目にもおいしい絵本4選

小西英子 さく『スプーンちゃん』

主人公のスプーンちゃんが様々な食べ物をすくいとってゆくお話です。
プリン、メロン、ゆでたまご。
スプーンちゃんの顔は持ち手の柄のところに描かれていて、
時には豪快にこぼしたり、飛ばしたりもしながら
料理やお菓子によってくるくる変わる表情が読むひとを笑顔にしてくれること間違いなしです。

こちらは0歳から2歳のお子さま向けの月刊予約絵本『こどものとも0.1.2』から出ていた作品で
見開き2ページにつき1文と読みやすく理解しやすい構成になっています。
絵本のページも厚紙で角が丸く加工されているので小さいお子さまにも安全でめくりやすいです。
また作者の小西英子さんはこの他にもたくさんの食べ物絵本を描かれていて
そのどれもがとっても美味しそうに表現されているので『スプーンちゃん』が良いと思ったらほかの作品にも触れてみてください。

created by Rinker
¥990 (2025/01/10 06:37:21時点 楽天市場調べ-詳細)
created by Rinker
¥990 (2025/01/10 06:37:21時点 楽天市場調べ-詳細)


竹林亜紀 さく 河本祥子 え 『マフィンおばさんのぱんや』

アデルジャジャンのまちにあるマフィンおばさんのぱんや。
街の人々に大人気のそのぱんやで住み込みでお手伝いをしている男の子アノダッテがこのお話の主人公です。
ある夜アノダッテは自分がパン作りを覚えたら今よりもっとマフィンおばさんの力になれる!と思い立ち、
見よう見まねでオリジナルのパンを焼き始めます。
自分の体ほどもある大きなパンだねに入れられるいいにおいでいい味のトッピングの列挙と、
色数を絞った優しいタッチの挿絵がかまどの中で膨らむパンのようにむくむくと想像を掻き立てます。

たなに ならんだ つぼのなかを のぞくと、
つぼの なかみは、アノダッテの すきな ものばかり。

いちごジャム、くろすぐりの ジャム、プラム、ほしぶどう、
コーヒー・クリーム、りんごジャム、チョコレート、シナモン、アーモンド、こなざとう。

竹林亜紀 さく 河本祥子 え『マフィンおばさんのぱんや』

もうこの文章を読むだけでパンを焼く地下室の中に満ちたいい匂いが鼻先をくすぐるような気さえします。
この後初めて作った美味しいものがたっぷり入った特大のパンだねをかまどに押し込むと、
アノダッテはそのまま寝落ちてしまいます。
大きな音で目を覚ますと、かまどの扉が開いてパンだねがあふれ出してきてしまいます。
地下室も1階もパンでいっぱいになり、2階に駆け上がっても追いかけてきて……

中身のみっちり詰まったアノダッテ作のパンのように最後までワクワクドキドキ、
そしておなかがぐうぐう鳴ってしまう大好きな1冊です。

今手元にあるものが1991年発行の第2刷で上の商品リンクと表紙デザインが変わっていて少しおどろきました。
わたしが持っている古いものは赤白ストライプのパン屋さんの日よけがない、看板のみの表紙です。

大森裕子 さく『なにからできているでしょーか?』

ねずみやねこ、パンダ、さる、うさぎたちが身近な料理を「なにからできているでしょーか?」と読み手に問いかけてくる絵本です。
動物たちはかわいらしくデフォルメされているのに対して料理はリアルに描かれていて思わず手を伸ばしたくなるほど。
それぞれの動物たちがおにぎり、ハンバーガー、ラーメン、ギョーザ、パフェが何からできているか教えてくれます。
動物キャラクターのポップなかわいらしさと、取り上げられる子どもに人気のメニューの緻密な描写、
初めて読むときには答えられなかった料理を構成する食材を何度も読み返すうちに完璧に答えられるようになる、
子どもたちの記憶力と覚えこんでしまうまで繰り返し読みたくなる魅力たっぷりの1冊です。

作者の大森裕子さんはこの他にも同じシリーズで何冊か描かれています。
どれもが子どもにも大人にも刺さる(おいしいもの好きで図鑑好きなら尚更!)、繰り返し読んでしまう作品です。


加藤休ミ 『きょうのごはん』

夕方の商店街を闊歩するネコさんの視点で、塀や柵の上を歩きながら
「きょうのごはんはなーに?」と家々の晩ご飯のパトロールをする絵本です。
ちょっと大判の絵本で各家の台所や居間の様子が細かいところまで描かれていて
読むたびに新しい発見があります。
例えば、さんまを焼いているおうちの居間のテーブルの下にある新聞から”大安売 さんま”と書かれた黄色いチラシがのぞいていたり、
おかずのコロッケをひと口でほおばってお母さんに睨まれるお兄ちゃんがいたりします。

カバーの折り返しにある作者紹介によればクレヨンとクレパスを用いた独特の画法で絵を描かれているとのこと。
それにしてもリアルで今にも本から飛び出してきそうな、料理の香りが漂ってきそうな
お腹を空かせる絵のオンパレードです。
わたしが今眺めてお腹の虫を鳴かされているのはカレーライスのページで、
大きな具がゴロゴロ入ったちょっと辛そうなカレーが迫って来るようです。
この絵本はわたしも大好きですが子どもたちと、祖父母までも真剣に読んでいたのが印象的です。
老若男女問わず惹きつけるパワーのある絵本、ぜひ本屋さんで探してみてください。
手に取って数ページめくったらもう欲しくなっちゃいます。

さいごに

4冊に絞ってご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
見かけたことがある、読んだことがある本はありましたか?
食べ物絵本は子どもに読み聞かせる際にかなり低年齢からでも食いつきがよく、
「ぼくはこれが好き」「わたしはこれを食べたことがある」などただ読むだけでなく連想遊びにも広がります。
食べ物という特に身近な題材のため自ら本棚から引っ張り出して読むのも最初は食べ物絵本が多かったように思います。

大人が読んでもああ、美味しそうだな、明日のお昼はカレーにしちゃおうかなと
気持ちが引っ張られてメニュー決めに一役買うかもしれません。
秋の夜長のひとり時間に、団欒の時に、寝る前に美味しい絵本を読んでみてはいかがでしょうか。

他にもおすすめの美味しい絵本たち

食わず嫌いがテーマの絵本。お友達のお昼ご飯が何度見ても最高。

シンプルな絵柄だからこそどうしようもなく惹かれる、丁寧に焼かれる描写がたまらない。

コロッケ。このシリーズはコロッケです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA