リズムがたのしい異世界冒険譚
この絵本を読んだことのない方のおおくはタイトルの『めっきらもっきらどおんどん』を目にしてこれは一体何なのだろう?と思うのではないでしょうか。
意味不明で不思議な響きをもつこの言葉に意味はありません。
今作の主人公である「かんた」くんがやけっぱちになって大声で歌っためちゃくちゃのうたなのです。
この歌のおかげで「かんた」は異世界へ入り込み、奇妙な三人組と出会い、交流することとなります。
「かんた」のめちゃくちゃの歌はタイトルにある「めっきらもっきらどおんどん」ワンフレーズではありません。
以下が歌詞のすべてです。
ちんぷく まんぷく
長谷川摂子 作 ふりやなな 画 『めっきらもっきらどおんどん』
あっぺらこの きんぴらこ
じょんがら ぴこたこ
めっきらもっきら どおんどん
引用にあたって間違いがあってはならないので今回はきちんと確認しましたが、
この絵本を何度も読み返した経験があればそらで歌えるものと思います。
それだけ子どもも大人も口ずさみたくなるパワーのある歌です。
絵本なので歌詞だけでメロディーは読み手が自由に想像できるのも楽しいところで、
わたしの幼い頃は自分が長子で音読担当だったため、きょうだい間で歌われるのは作曲・わたしのものでした。
自分のこどもがこの長さの物語を聞けるようになったときに読み聞かせたのもわたしなので、
我が家で歌われるのもまた作曲・わたしです。
先入観なく初めて読むひとがどんな曲をつけるのか、そんなところもわくわくするポイントです。
『めっきらもっきらどおんどん』のあらすじは
主人公の「かんた」は友だちと遊ぼうとしますがその日に限って誰もいません。
住宅街から離れてた神社まで来たのに誰とも会わず、大声でめちゃくちゃの歌をうたいます。
すると急に強い風が吹き、 こっちに来て歌え と誰かの声が聞こえました。
声をたどるとご神木に空いた穴に行きつき、のぞき込むと吸い込まれてしまいます。
転がり落ちた先は夜の山で、空飛ぶ丸太に乗ったおかしな三人組
長身で細く長い手足を持ち、狐面のような顔の「もんもんびゃっこ」
かんたと同じくらいの身長で地面につくほどの赤く長い髪と鋭い爪をもつ「しっかかもっかか」
七福神の福禄寿と布袋尊を合わせた和風サンタクロースのような姿の「おたからまんちん」
と出会い、遊び、歌い、食べて楽しく過ごしますが、だんだんとおうちが恋しくなって……
最後には元居た世界へ帰って来られるのですが、
またおかしな三人組に会いたいと思って神社に行ってもあの歌を忘れてしまって会えない、という少し切ない終わり方のお話です。
さいごに
ストーリーをほとんど最後まであらすじとして書いてしまいましたが、ネタバレにはなっていないと思っています。
このお話は絵本であり、長谷川摂子さんのお話も、もちろんですが、作画のふりやななさんの絵がとっても素敵で
この魅力は文章では到底表しきれるものではないです。
この作品が気になった方はぜひぜひ、実際の絵本をご覧になって
おかしな三人組のパワフルさ、夜の山の空気感、お餅のなる木にたわわになったお餅を実際に見てほしいと思います。
1985年に発行されて今なお愛され続ける超名作なので本屋さんや図書館にきっと置かれているはずです。
最後になりますが、わたしの推しは小学生のころから一生変わらずしっかかもっかかちゃんです。
小柄でもふもふ(髪)、爪と牙がある一人称「あたい」の人外、絶対可愛いのでよろしくお願いします。