基本情報
タイトル:グランパ・グリーンの庭
著者:レイン・スミス
訳者:青山南
2012年5月10日 第1刷発行
出版社:BL出版
あらすじ
グリーンおじいちゃんは農場で育った。
高校を出ると、兵士になった。
結婚して、子供ができて、ひ孫もできた。
つまり、ぼくだ。
いま、おじいちゃんは庭師でトピアリーつくりのめいじん。
ときどき、いろんなことをわすれるけれど……。
トピアリーにうつしだされた
おじいちゃんの人生を、
ひ孫のぼくがたどります。
この本の感想とおすすめポイント
まず、あらすじにある「トピアリー」とは、「常緑樹や低木を刈り込んで作成される西洋庭園における造形物」なのだそうです。
この絵本をひらくと、どのページにもトピアリーが描かれています。
その造形は、ひ孫のぼくが語るおじいちゃんの生きてきたこれまでとリンクしていて、楽しいことばかりでは決してなかったおじいちゃんの若かりし頃をあくまでもポップでユーモラスに今現在に形作ります。
ひ孫のぼくが言うには、いろいろなことをわすれてしまうおじいちゃんですが(ぼくは場面場面でおじいちゃんの忘れ物を拾い集めています)彼の作り上げるトピアリー、そして庭そのものから明るく元気に精いっぱい生きてきたことがうかがえて、胸がぎゅうっとなります。
これから先もっといろいろを忘れてしまっても、自分が作った庭がぜんぶ覚えているから歳をとっていつかこの世界から自分が消えても生きてきた軌跡は何らかの形で残って誰かを楽しませたり懐かしい気持ちにさせたりできるんだろうな。
自分の祖父母のことなどを思い出してしんみりしてしまうけれど、全体に漂う空気感、グリーンでいっぱいのページたちがやさしくて、この先も楽しいことあるよね、と希望を感じる絵本です。
子どもとおとなとでは感じ方が結構変わってきそうな作品でした。