タイトル:おっきょちゃんとかっぱ
文:長谷川摂子
絵:降矢奈々
1994年9月1日月刊「こどものとも」発行
1997年8月15日「こどものとも傑作集」第1刷
出版社:福音館書店
読んであげるなら 3才から
自分で読むなら 小学校初級むき
あらすじ
おっきょちゃんは小さな女の子。
ある日一人で川で遊んでいると、川の中からガータロと名乗る赤い顔をした奇妙な子どもに声をかけられる。
聞けば、お祭りの日なのにお客さんが来ないので来てくれないかとのこと。
おっきょちゃんは浴衣に着替えて畑のきゅうりをお土産に、ガータロに手を引かれて川に入る。
水底で河童のお祭りを楽しんでいると、大きいかっぱたちに囲まれて「なぜ人間の子がいるのだ」と問い詰められて・・・
この絵本の感想と好きなところ、おすすめポイント
あらすじの先を少し話してしまうと、大人かっぱに囲まれたおっきょちゃんはお土産に持ってきたきゅうりを出してカッパたちに気に入られます。
お祭りのお餅を食べて、お父さんのこと、お母さんのこと、水の外のことを全部忘れてしまい、ガータロのうちの子になっていく日も過ごしていました。
ある事がきっかけでお母さんのことを思い出し、泣いてばかりになったおっきょちゃんをかっぱたちが知恵を合わせて元いたところへ返してめでたしめでたしのハッピーエンドで終わります。
この話の何が心を惹きつけるのか。
異世界に行って帰ってくる話だからです。
「不思議の国のアリス」も「千と千尋の神隠し」も変わらない日常から異世界に入り込んで
いろいろな楽しさ怖さなどを乗り越えて元いた世界へ帰ってきます。
このような展開が、子どもの(時には大人の)「どこか知らないところへ行って冒険したい」「でも最終的におうちが最高」という気持ちを両方叶えてくれるから、私たちが惹かれてやまないのでしょう。
「おっきょちゃんとかっぱ」の登場するキャラクターはみんな優しいです。
おっきょちゃんを誘ったガータロも、その親も、友達かっぱたちも。
おっきょちゃんが「帰りたい」と言ってからの流れが素晴らしく、短編映画を鑑賞するような満たされた読後感が味わえるので、ぜひたくさんの方に触れてほしいです。
おっきょちゃんとかっぱ (こどものとも絵本) [ 長谷川摂子 ]
めっきらもっきら どおん どん (こどものとも絵本) [ 長谷川摂子 ]